蛇苦止堂

じゃくしどう。鎌倉大町の妙本寺にある。北条と激突した比企一族は

館に火を放たれ皆殺しにあった。比企の頭領義員の娘わかさは二代将軍頼家に嫁ぎ、

三代将軍になるはずの一幡を生んだが、一幡は火の中で命を落とし、

わかさは井戸に身を投げて自死した。

わかさは蛇の姿で怨霊となり北条一族に祟ったので、北条は恐れをなして

蛇苦止堂を建て、わかさを供養し怨霊鎮めの法要を営んだ。

鎌倉の比企一族は皆殺しにあったが、義員には京都の妻に義本という子供があり、

五十年後鎌倉に来た義本は、当時布教活動で注目されていた日蓮聖人に帰依し、

比企ゆかりの地に妙本寺を建て、日蓮聖人に一族の菩提を弔ってもらった、と

伝えられている。比企一族を弔い、わかさの怨念を鎮める法要を日蓮門下の

僧侶は今日まで続けている。